『ENIGMA:』
ブランド:渦女屋本舗
ジャンル:ファンタジーADV
レーディング:R15指定
シナリオ:そき(水桜月)
原画:490
ボイス:無
萌え:昔懐かし切ない系ファンタジー
総合:秀作
シナリオ:★★★
女性向け・恋愛無し男同士の友情・グロ的な意味で15禁・主人公は死ぬ、と数え役満で商売っ気のない本作は、作者の趣味だけで突っ走れる同人作品の良いところがたくさん詰まった愛すべき存在です。2000年代前半の女性向けゲームの面影を色濃く残しつつ、『英雄になれなかった人々が次世代へ希望を託す』という物語全体のメッセージが時流に沿っていると感じました。
不治の病『エニグマ』に冒された青年・チェスターが、流れ着いた孤島カーライルで余生を過ごし、出会った人々に何を残せるか、何を得て人生を終えるのか。選択肢はあるものの結末はチェスターの死一択なので、彼の終活を見守る物語とでもいいましょうか。
攻略対象はツンデレ少年のラウロ、無口な不老青年イグニス、動く人形エンヴィリオの3人。血なまぐさいシーンもありますが、彼らとの交流はあたたかく癒されます。
惜しむらくは展開の盛り上がりに欠けるところですが、そもそものコンセプトを考えればこれが限界かも。因縁ドロドロや二アホモ萌えもないので、清らかな心で物語を見守りましょう。
グラフィック:★★★★☆
女性向け・若年層向けのやわらかい絵柄ですが、ありがちな不安定さや崩れがほとんどありません。どの立ち絵もスチルも丁寧でキレイ。枚数も多く構図も凝っています。背景は一部フリー素材のようですが、白い森や神殿など同人とは思えないクオリティでした。
印象的だったのは無性別のエンヴィリオで、少年か少女かわからないミステリアスな色気があります。あとはチェスターのいかにもなタラシ感がよかった(笑)
サウンド:★★★★☆
基本的にはフリー素材ですが、OP・ED曲や各キャラテーマ曲はオリジナルです。
OPはこの手のゲームあるあるの王道曲でツカミばっちり。ED曲は真相であるエンヴィリオルートでのみ流れ、めちゃくちゃ凝ったエンドロールとの相乗効果でまんまと涙腺決壊。曲自体ももちろんいいんですが、今までのストーリーの積み重ねがあったからこそ、ゲームならではの感動でした。
演出:★★★☆
ADVとして押さえるべきポイントは押さえていた印象。BGMの扱いや背景処理なども丁寧で、一部バトルシーンでも頑張っていたと思います。
前述の通りエンドロールがすごい。自己満足と言われがちな部分ですが、自己満足結構じゃないですか。ここまでやればアッパレです。クリア後にタイトル画像が変わるのもニクイ仕様で、ADV好きな制作者だろうと思わせる痒いところに手が届く演出でした。
システム(ゲーム性含む):★★★
スタンダードな吉里吉里製。インターフェースデザインも洗練されています。文章の一括表示ができないのが残念でしたが、いたって快適なシステムでした。
攻略順はラウロ→イグニス→エンヴィリオ(真相)の固定。各キャラ7個前後のエンディングが用意され、ラウロでは姉のコレット、イグニスでは師匠のグレタがセットでフィーチャーされるEDもあり充実しています。難易度はそこそこ。展開とあまり関係のない選択肢が多いので、結局は総当たりで回収しました。
総合:秀作
作者が描きたいものだけを描き、グラフィック・サウンド等ゲームとしてのクオリティをストイックに突き詰めた秀作。斬新さや奇抜さはなくとも、作り手の真摯な姿勢に惚れました。
パッケージ版のみならずDL版も良心価格で販売されているので、同人ゲーム好きなら買いです。これからもメーカーさんは好きなものだけ作っていってほしい。応援しています。

好きキャラ:エンヴィリオ、イグニス
好きルート:エンヴィリオ真相ルート
好きカップリング:チェスター&イグニス
好きサウンド:『動かぬ時計-イグニス』『Mind Trace』
こんな人にオススメ:切ない系ファンタジー好き、男同士の友情萌え、アポクリ世代向け

       
       

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