『Ariard-少年アリス-』
ブランド:Latte
ジャンル:不思議の国ダークファンタジーADV
レーディング:X指定
シナリオ:上月壱
原画:島津ハル
ボイス:有
萌え:乙女寄り初心者向け
総合:良作
シナリオ:★★☆
開口一番申し訳ないですが、惜しいとしか言いようがない。セミプロクリエイターが制作したこの同人ゲームは、『気軽に遊べる初心者向け』の長所と短所の、短所のほうに天秤が傾いてしまった印象です。
創作の題材として安パイである『不思議の国のアリス』を下敷きに、主人公・有純は異世界に連れ去られ、白兎やチェシャ猫といったおなじみの面々と出会いながら、元の世界への帰り方を模索する。
1ルート3時間程度で終わるほど短く、肉付けされていないプロットをダイジェスト形式で見ているようでした。昨今減っていたはずの「いつ好きになったんだよ!?」的BLゲームお家芸も、残念ながら健在。主人公は意志薄弱でどんな性格なのか不明。そもそもキャラ萌え・シナリオ・エロのどれに比重を置いて作られたのかわからないほど、何もかも淡白にコトが進みます。
とはいえ、裏返せば癖がなくコンパクトにまとまっているし、キャラもあと少し煮詰めれば充分魅力的になっていたはず。とくに白兎。彼はその出自によって心が欠落しており、デレなのにデレてくれない曲者で、すごくおいしく化ける可能性を秘めていました。もっと白兎の持つ虚無と変化を見たかった。
総じて惜しい! の一言に尽きるシナリオ。世界観が良いだけに残念です。
グラフィック:★★★☆
人物画は人形じみているというか、一昔前の少女漫画風で作風に合っていると思います。塗りはもうちょい頑張ってください。せっかくのイケメンも残念な結果に。
インターフェースデザイン、背景などは素晴らしいです。OPアニメのチェシャ猫ぐうかわ。
サウンド:★★★★★
女性向け商業ゲームでも活躍されている鈴葉ユミさんが担当。これはすごい。BGMだけで元が取れるほどハイクオリティで、個人的に『花帰葬』に迫る勢いでした。『花帰葬』もそうでしたが、この手の作曲家さんは女性の琴線に触れる音作りを心得ているのだと思います。
主題歌『Ariard』を筆頭に、きれいで物悲しい旋律が耳に残る。願わくばこのBGMに浸りながら涙腺崩壊したかった……。
ボイス:★★★★
プロの声優さんが声をあてているため、聞いていて安心できました。
どのキャラも声質が高めな優男演技で、中でも主人公は好き嫌いが分かれるかも。白兎の軽薄なしゃべり方、王様のエロスに偏りすぎない爽やかなゲス声がお気に入り。
演出:★★★★
意外なほど動きがあり、視覚的に楽しむことができました。帽子屋の周囲に裁縫針と糸が飛んできたり、蛹がふかすパイプの煙が浮かんだり、それぞれエフェクトが用意されていて細かい。本をめくるようなアイキャッチもいい。
システム(ゲーム性含む):★★★
不便な点はなく快適。一応修正パッチが配布されていますが、進行の妨げになるようなバグはありませんでした。
選択肢を選んで進むオーソドックスなADVで、分岐もわかりやすく、迷うことはないと思います。初回は蛹が攻略不可。2巡目以降ルート開放されます。
総合:良作
同人らしい荒削りさがなく、垢抜けた優等生的作品。フルプライスならさすがにどうかと思うボリュームも、フルボイス4000円前後であることを考えれば値段相応。ゲームとしての外枠は洗練されているので、次回作はぜひもっとシナリオとキャラクターを練ってほしいです。
なお、王様のエピソード少なすぎてウソやんけと絶望しましたが、ファンディスクでジャックと一緒にルート追加されるとのこと。王様の哀れっぷりに心惹かれたユーザーは要チェックです。

好きキャラ:王、チェシャ猫
好きルート:白兎ルート
好きカップリング:-
好きサウンド:『Ariard』『White Rabbit』
こんな人にオススメ:BL初心者乙女ゲーユーザー、性別受け好き、サクッと手短に遊びたい

   
特装版サントラ。各END後SS小冊子付き。 こちらは通常版。私も爆速で買いました。    

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