『神学校 -Noli me tangere-』
ブランド:PIL/SLASH
ジャンル:ADV
レーディング:18禁
シナリオ:草香祭
原画:なつみ開
ボイス:有
萌え:実は正統派ジュブナイル
総合:秀作
シナリオ:★★★★
名作と名高い『薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲ク』で一躍注目を浴びたシナリオライター・草香祭氏の新作BLゲーム、満を持して登場。
『カテドラル幻想』が立ち消えとなって嘆いた私含む耽美ファンだけでなく、メディアの前評判も高かった『神学校』は、とても丁寧で堅実なつくりをしており、「これぞ商業作品」と膝を打ちたくなるような快作でした。
禁忌や背徳を強く推したゲームデザインながら、シナリオ自体はそこまで退廃的な要素を含んでおらず、恐怖や憂鬱よりは悲しみや切なさが残る穏やかな物語です。
ボーイズ“ラブ”としてはセシル、ニール、レオニードのお三方ががんばっていました。彼らにはBL萌えを期待しても大丈夫。少年愛を期待してはいけません。そうすると中盤がダルく感じます。
私も中だるんで正直どうしようかと思いましたが、最終のガブリエルルートで括目しました。双子ときたら疑ってかかれ、がヲタクの常識なので、ガビィの秘密は薄々感づくと思います。でも、その正体に『神学校』が伝えたかったテーマを集約し昇華した手腕はお見事。幕引きは号泣必至です。
主人公のマイケルが恋をし、少年時代を経て成長する姿に少年愛の真髄を垣間見ました。諦めないでプレイしてよかった、自分。
竹宮惠子というより、萩尾望都。このニュアンスをわかってくれて、なおかつアンテナが立てば間違いありません。聖と邪の相克。燃えます。(萌えに非ず)
グラフィック:★★★★☆
テラ耽美。上手い下手とかじゃなく耽美なので、好みが分かれてしまうのは仕方ないと思います。私はものすごく堪能しました。
やや人物の顔年齢が安定しないかな、と思う箇所もありますが、美少年から小汚いオッサンまで描く技量は確か。特に、いかにも昔風の耽美を意識したマイケルのキャラデザはオイシイ以外の何ものでもありません。ふわふわ金髪猫目最高。
また、ライアーソフトの大石竜子女史がイメージグラフィック担当として参加しています。どこもかしこも眼福。
サウンド:★★★★
おなじみ細井聡司氏が担当しています。ボーカルまで担当するのはそろそろ自重してほしいところですが、BGMはすべて良曲揃い。なんとなく映画『エクソシスト』を思わせるホラーシーンのBGMもイイ。
OP・EDで空気を読まないのはPIL/SLASHのお家芸なのか。OP曲も英語にしろよ! と思ったのは私だけではないと思う。ED曲の英語発音でズコーしたのも私だけではないと思う。でもいい曲です。それだけは確か。
ボイス:★★★★☆
偽名、もしくは露出の少ないキャスト勢ですが、皆さん芸達者で安心して聴けました。二役を演じたみや……東城直樹氏はハマリ役だったと思います。いつもなかなか聴けない穏やか&爽やかな演技が貴重。
生徒たちはもちろん、ラザラス神父やエイハブ牧師、そして校長などオジサマ連中が光る。特に校長役の縞馬男爵氏は、それこそ何かとり憑いていたとしか思えない怪演技。おかげで真の悪役がかすみます。なんてこったい。
演出:★★★☆
エフェクトやフェードアウトなど、細部まで気を使っていたのがわかりました。恐怖を煽る耳障りなSEも、お化け屋敷的な驚きをくれます。ヘッドフォンプレイ推奨。
印象的だったのが、マイケルが悪魔を振り払う演出。み……東城氏が邪悪な低音でささやいてくれます。まさに「悪魔よ退け!」な感じ。
システム(ゲーム性含む):★★★☆
選択肢を選んでルート分岐するシステム。事件の謎を追うといっても、プレイヤー自らが推理して進めるわけではありません。選択肢自体わかりやすく、攻略難易度は低めです。
全カップリングリバーシブルで楽しめるのが、草香女史の特徴。リバ分岐の選択肢もわかりやすい安心設計でした。
攻略には制限がかかっていて、初回はセシル、ニール、レオニードのBLお三方のみ攻略可能。三人すべてのグッドエンドを見たのち、オーガストルート開放。彼のグッドエンドを見てようやく真相のガブリエルルートが開きます。
総合:秀作
自分と、自分が信じ愛する大切な人々を通して信仰を見出す、という物語全体の流れがとても日本的だと思いました。多神教文化で、神様との距離が近い日本人の琴線に触れるテーマが心地よかった。
ガビィ(またはオーガスト)とその他、という感じで、ルートによって受ける印象が二分化されてしまったのが残念ですが、私はガビィルートを終えて「少年の成長」を描いた正統派ジュブナイルだと感じました。
数々の困難に遭いながら、それでもガビィという存在と共にあったマイケル。久しぶりに単体で応援したくなる、これから幸福な人生を歩んでほしいと祈りたくなる主人公の物語でした。

好きキャラ:マイケル・レヴィ
好きルート:ガブリエルルート
好きカップリング:マイケル×レオニード、レヴィ兄弟と同室者たち(友情萌え)
好きサウンド:『邂逅』『涙の奥の真実』
こんな人にオススメ:耽美好き、リバ好き、草香祭ファン、少年愛と聞くと無条件でテンション上がる

サントラ。細井総司氏作曲。 漫画版。原画家さんが担当。 発売元に一抹の不安を感じる、草香女史の名作。 工エエェェ(´д`)ェェエエ工

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