『マギア・ミスティカ-精霊魔術士-』
ブランド:b_works
ジャンル:学園魔術ファンタジーAVG
レーディング:R指定
シナリオ:高野克巳
原画:崎村侑子
ボイス:無
萌え:主人公総愛され
総合:良作
シナリオ:★★★
なぜ唯たんが攻略できないのでしょう。それだけが最大の心残りです。
どけ! 野郎共! そこは俺のポジションだ! あああああ俺も唯たんにあんなことやそんなことやこんなことしてええええ!!
苦節5年。本当に本当に本当に長かった。
思えば同ブランドのデビュー作『セラフィム・スパイラル』、あれこそが我が人生における初のBLゲームでした。感慨深い。あの頃が甦るようだ。なんかもう「発売おめでとうございます! お疲れさまです!」の一言で済ませられるような気がしてきた。
いやまあ、正直5年も延期して何やってたと言いたくなるようなボリュームではありましたが、価格を考えれば妥当なところか。
R指定、ボイス無し、ショタ(に見える)主人公とあって、メーカーファン以外のどれほどのユーザーが食いつくか、やや印象の薄い作品に見えてしまうところが残念。
ストーリーは、まじりっけなしのジュブナイル。人慣れない主人公が、初めての仲間たちと絆を深め、脅威に立ち向かう青春モノで、過程も後味もすっきり。
また、b_worksの特徴である“主人公至上主義”は今回もしっかり守られていて、脇カプに辛酸を舐めてきたお姉さん方も安心仕様。みんな唯たんが大好きです。
さらにもうひとつの特徴である“ギリギリエロス”ですが、いかんせん舞台設定が爽やかジュブナイルであるため、『セラフィム・スパイラル』よりは控えめ。残念。このメーカー、ひょっとして下手にRとかXとか指定入れない方がいいんじゃなかろうか。
おそらく延期の最たる原因であるシナリオは、バランスが悪い、というのが印象でした。中盤まではダルい展開が続き、後半駆け足。
世界観構築にいたって、女性向けではこのブランドの右に出るものはいないだろうと思うのですが、逆にそれに固執しすぎて、ストーリーのためにキャラが動いている、というふうに見えてしまいました。
b_works作品は毎回世界存続の危機に陥りますが、話自体は非常にコンパクトにまとまっているので、危機感はあまりない。もう少し冒険したかったな、と毎回思う。雰囲気もキャラも良いから、なおさら彼らの活躍をもっと見ていたかった。
テキストはあいかわらず、これでもか! と装飾過多。ゆえに、各々自分の心情まで余すことなく(かつ回りくどく)説明してくれるので、行間を読む隙もあったものじゃない。
前作はあまり気にならなかったのですが、こういう爽やかな舞台でやられると違和感。まあ、つまり、自分はちょっと疲れました……。
グラフィック:★★★
『セラフィム・スパイラル』から、背景や塗りのクオリティは段違いに上がっています。
ただ、前回よりはバリエーションが増えたものの、構図の単調さが目に付いたり、キャラの表情の硬さが気になったりもしました。今回はバトルシーンも多いのだし、もう少しカッコいいスチルも見たかった。
サウンド:★★★★
多方面で活躍する細井聡司氏が担当。民族的、幻想的な楽曲作りがとても上手な方です。
雰囲気によく合っていたし、挿入所もわきまえているので、全体を通して安心して耳を傾けられました。
演出:★★☆
ADVの基本を押さえた、標準的な演出。
ただ、本作のメインである“精霊魔術の戦闘”を演出するには、やっぱりなんだか力不足。
システム(ゲーム性含む):★★★
敵とのカードバトルは、イベント戦闘として各章必ず挿入されます。
難易度は相当ぬるめ、淡々とカードを合わせて相手にダメージを与えていくだけなので、正直面白くもなんともありませんでした。
二週目以降はラスボスとの戦闘すらスキップできるので、カードバトル自体を組み込む必要はあったのか? と首を傾げてしまいます。
ADVとしてのシステム周りは、あいかわらず親切で好感が持てました。
総合:良作
とても丁寧に作られていて、制作者の愛情を感じまし た。ただ、なんというかこう……「こいつ(またはこの二人)の生き様を描きたいんだ!」という、良くも悪くも強烈な感情が見られなかったので、自分の中で も地味な良作に納まってしまい残念。当たり障りない、という意味では、ユーザーに優しいのかもしれませんが。
せめて声が付いていれば、もっと世に広まった作品だったでしょう。このメーカーの妥協しない職人気質なところは好感が持てるのですが、それゆえ他ユーザーにスルーされてしまうのが寂しい。
ファンは買って間違いなし。新規さんも、主人公総受けで萌え度高めのキャラが勢揃いで、安心してプレイすることができるのでぜひ。
……にしても、主人公の唯たんを攻略したいと切に願ってしまった自分は、もしかしなくても負け組なのかもしれない。

好きキャラ:真名瀬唯
好きルート:リヒトルート
好きカップリング:穂波×唯
好きサウンド:『Gate of Dawn 黎明の扉』(エンドロールで流れるアレンジver.がよかった)
こんな人にオススメ:主人公総受け至上主義、現代ファンタジー好き、活字中毒

     
サントラ。細井総司氏作曲。本体未収録曲も有。      

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